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北茨城市民病院

病気の豆知識

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お通じの色がおかしい~下血について~

2025年12月5日

外科 田口 怜

「下血」とは、消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)のどこかが出血しており、血液が便に混じって肛門から排泄されることを言います。下血は大きく「黒色便」と「血便(鮮血便)」の二つに大別され、食道、胃、十二指腸などの上部消化管から出血している時には「黒色便」となり、大腸や肛門など、肛門に近い下部消化管からの出血が生じる時に「血便(鮮血便)」となります。

なぜ、出血する部位の違いで色調や性状に変化があるのかというと、血液に含まれる鉄分が、消化液や消化管内の空気に触れることで、酸化されるからです。

胃や小腸など、肛門から離れた消化管で出血する場合、便の色調は黒色や暗赤色に変わります。胃に近い場所からの出血では、血液が胃酸により酸化され、黒くなります(石炭のような黒さに見えることから「タール便」とも呼ばれます)。また、空気に接触しても酸化するため、腸管の中に長時間留まっていると赤黒い便となることもあります。出血がなくても、鉄剤などを内服している場合には、黒色の便が出ることがあります。黒色の便が出た場合、胃や十二指腸潰瘍の他、胃癌などの悪性腫瘍からの出血もあるため、上部消化管内視鏡(胃カメラ)検査が推奨されます。

一方、「血便」と呼ばれる真っ赤な鮮血便が出た場合は、胃酸や消化管内のガスによって酸化される血液の割合が少なく、血液が比較的赤い色調を保ったまま便とともに排泄されていることが予想されます。出血から時間が経っていないことも多く、肛門に近い消化管(大腸や肛門)からの出血を考えなければなりません。肛門の近くであれば痔核出血や裂肛、大腸からの出血であれば憩室出血、虚血性腸炎や感染性腸炎などの他、大腸がんなどの悪性腫瘍による出血などが原因として疑われます。いずれにせよ、血便が見られた場合には、大腸及び肛門の観察をする目的で下部消化管内視鏡(大腸カメラ)検査が推奨されます。

上記検査については、当院でも積極的に施行しております。便の異常が見られた場合には、なるべく早期に受診をご検討下さい。

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