百日咳が流行っています
2025年8月5日
内科 真下 翔太
激しい咳を引き起こす感染症「百日咳」の感染報告が県内で拡大しています。今年の県内累計患者数は832人(6月15日時点)であり、2023年は8人、2024年は24人であったことからみても、今年は比べものにならないくらい多いことがわかります。
百日咳は「百日咳菌」を原因とする激しい発作性の咳を特徴とする感染症であり、感染性は非常に高く飛沫(唾液)から感染し、潜伏期は7-10日程度です。
症状は、ワクチン未接種の乳児では、①咳、鼻汁が主体、時に結膜炎を伴いカタル期(1-2週程度持続)、②連続性の咳に続く、笛の音のような呼吸音が出現する痙咳期(最長8週間)、③咳症状は減っていくが6週間ほど持続する回復期の3つの病期に分かれます。一方でワクチンを既に接種された、思春期や成人の方では乳幼児と比べて症状は軽く気づかれにくく、病期もはっきりしません。①咳のみ、あるいは咳嗽が主な症状でそれが1週間経過しても悪化している状態、②発作性の咳、③咳嗽後嘔吐の3点が百日咳の手掛かりとなります。
百日咳の治療には、抗菌薬の内服を行います。治療期間は通常5-7日間が一般的ですが、症状が長引く場合や重症例では2週間程度まで延長することもあります。また、発症から5日以内の抗菌薬投与が有効とされます。一方で、抗菌薬を服用しても咳の発作はすぐに治まるわけではなく、数週間続くことがあります。
百日咳ワクチンは、通常生後2か月から始まる4種混合ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ)として定期接種されます。生後2か月から4週間隔で3回、その後12~18カ月に1回追加接種を行います。また、任意接種にはなりますが、就学前や11~12歳の子どもには、3種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風)の追加接種が推奨されています。ワクチン接種だけでなく、予防のためには、飛沫・接触感染を防ぐために、かぜ予防と同様に、手洗い・うがいが重要になります。百日咳だけでなく、まだまだ新型コロナウイルスも含めて流行していますので、しっかりと感染対策をしていきましょう。
お知らせ / イベント情報 / 採用情報 / 入札情報 のいずれかを入力してください。
お知らせ